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2018年10月08日

日立建機が日本国内の開発・生産拠点の再編計画を発表、「コンストラクション」「マイニング」「コンポーネント」「コンパクト」と機能別に再編

日立建機2018年9月27日に、

  • 日本国内開発・生産拠点の大幅な再編計画
を発表していました[1]。

その主な内容は次の通り。


<背景・目的>

  • 建設機械業界は世界的に、中長期的な成長が続くと予想される。
    その中で
    • 顧客の要望の高まり(安全性、生産性など)に応えるための、最先端技術(環境性能、自動運転など)の更なる開発推進
    • グローバル規模での競争激化に対応するための、生産体制の最適化
    が必要・急務となっている。
  • その中で日立建機は既に、国内・海外で事業改革を進めている。
    今回は、
    • ホイールローダの子会社「KCM」
    • ミニショベルの子会社「日立建機ティエラ」
    を含めた、抜本的に最適な開発・生産体制の検討結果として、
    • 主要な開発リソースの集約
    • 主要な生産拠点の再編
    を、正式に決定した。

<各拠点の担当の変化>

※資料[1]の2〜3pを参考とした。

拠点再編前再編後(2022年時点)
土浦工場 開発
  • 油圧ショベル(ミニ以外)
  • ダンプトラック
  • コンポーネント
    (最重要部品の油圧機器、ドライブユニット)
  • コンストラクション
    (一般建設工事向け)
  • マイニング
の開発拠点となる。該当製品は
  • 超大型・中大型油圧ショベル
  • 超大型・中大型ホイールローダ
  • ダンプトラック
  • 油圧ショベル・ホイールローダ用
    コンポーネント、主要部品
生産
  • 中型油圧ショベル
  • 大型油圧ショベル
コンストラクション」の完成品
  • 中型ホイールローダ
  • 中型油圧ショベル
常陸那珂臨港工場 生産
  • 超大型油圧ショベル
  • ダンプトラック
マイニング」の完成品
  • 超大型油圧ショベル
  • ダンプトラック
  • 超大型ホイールローダ
  • 大型油圧ショベル
常陸那珂工場、
霞ヶ浦工場
生産 下記製品用のコンポーネント。
  • 油圧ショベル
  • 中型ホイールローダ
  • ダンプトラック
  • 「コンストラクション」
  • 「マイニング」
向けの「コンポーネント」工場となる。
生産品は左に同じ。
播州工場(現KCM) 開発
  • 超大型・中大型ホイールローダ
  • 大型ホイールローダ用コンポーネント
生産
  • 超大型ホイールローダ
  • 中大型ホイールローダ
  • 大型ホイールローダ用コンポーネント
コンパクト」(ミニショベル、ミニホイールローダ等)などの主要部品(製缶品、キャブ等)。
  • ミニショベル用
  • ミニ〜超大型ホイールローダ用
龍ヶ崎工場(現KCM) 開発
  • 中大型ホイールローダ
  • ミニホイールローダ
生産
  • 中大型ホイールローダ
  • ミニホイールローダ
コンストラクション」の主要部品
(油圧機器、製缶品など)
滋賀工場
(日立建機ティエラ)
開発
  • ミニショベル
コンパクト」の開発拠点となる。
  • ミニショベル
  • ミニホイールローダ
  • 主要部品
生産
  • ミニショベル
コンパクト」の完成品
  • ミニショベル
  • ミニホイールローダ
大阪工場
(日立建機ティエラ)
生産
  • ミニショベル用の主要部品
左に同じ。
拠点再編前再編後(2022年時点)

※再編後の機能別の担当は、

機能担当拠点
「コンストラクション」開発土浦工場
生産
  • 完成品:土浦工場
  • 主要部品:龍ケ崎工場
「マイニング」開発土浦工場
生産常陸那珂臨港工場
「コンポーネント」開発土浦工場
生産霞ヶ浦工場、常陸那珂工場
「コンパクト」
(ミニショベル、
ミニホイールローダ等)
開発滋賀工場
生産
  • 完成品:滋賀工場
  • 主要部品:播州工場、大阪工場

<スケジュール等>

  • スケジュール予定:
    • 2019年4月KCMを日立建機に吸収合併する。
    • 2022年まで:開発・生産の機能別再編を完了する。
  • 関連投資:420億円ほどの見込み。


変更前は各拠点の担当が「機種別・製品別」になっているのが、変更後は一転して製品の「機能別・用途別」にまとめられており、これは確かにかなり大きな変化だと感じます。

タダノ社と合弁事業を行う予定である印・Escorts社のウェブサイトで、製品紹介が

  • 「Material Handling Equipment」(クレーン、フォークリフト)
  • 「Earthmoving Equipment」(油圧ショベル等)
  • 「Escorts Construction Equipment」(道路工事用のロードローラー)
と用途別にカテゴリ分けされているのを思い出しましたが、大手メーカーである日立建機の今回の発表を見ると、このようなユーザー側に立った分類が、これからは建機産業の合理化において広く浸透していくのでは、と考えさせられます。

また、資料[2]の14pのマップを見ると、

  • 関東:「コンストラクション」「マイニング」「コンポーネント」
  • 関西:「コンパクト」
と、ロケーションの点でも機能別の分類が鮮明になっており、これも事業の効率化に大きく寄与しそうです。


その一方で、KCM社は日立建機に吸収合併されるとのことですが、ホイールローダの「KCM」ブランドの扱いについては記載がありません。

ただ[2]の8pでは、2018年に「北米でKCMから「HITACHI」ブランドに切り替える」との記述があるので、今後は完全に消滅する可能性もありそうです。

川崎重工業から続いてきたブランドが消えるとすれば、時代の流れとはいえ、個人的には少し寂しさがあります。


※参照・参考資料:
[1](訂正後)グローバル競争力の強化のために国内主要 開発・ 生産拠点を大幅再編(日立建機、2018/9/27)
https://www.hitachicm.com/global/wp-content/uploads/2018/09/20180927-HCM-Notice-Major-Domestic-Restructure-JP-2.pdf
(※https://www.hitachicm.com/global/jp/ir/library/results/内。)
[2]国内の事業構造改革について(同上)
https://www.hitachicm.com/global/wp-content/uploads/2018/09/20180927-HCM-Major-Domestic-Restructure-JP-Rev..pdf
(※同上。)

※関連記事:

posted by 管理人 at 06:00 | メーカー:日立建機

2018年10月03日

John Deere社と独「Wacker Neuson」社が、アジア・太平洋地域向けのミニショベル・小型ショベルのOEM協力で合意、Wacker Neusonが同市場向けに開発した製品を供給

3週間以上前になりますが、John Deere社と独「Wacker Neuson」社が2018年9月10日に、

  • アジア・太平洋地域向けのミニショベル・小型ショベルを、Wacker Neuson社がJohn Deere社にOEM供給することで、両社が合意した。
と発表していました[1][2]。

その概要は次の通り。


<提携の内容>

対象の製品 1.7〜7.5tの小型ショベル・ミニショベルの4機種。
※Wacker Neuson社が、アジア太平洋市場の需要に応じて特別に開発した製品。
対象地域 中国、東南アジア、オセアニア
供給元 Wacker Neuson社の中国・Pinghu工場で、主に製造する。
※同工場は2018年1月に、ミニショベルの製造を開始している。
供給開始の時期 2019年始めからの予定。
販売の体制 John Deere社のディーラーネットワークで、「Deere」ブランドで販売する。
※Wacker Neuson社も同じ地域で、自社ブランドでの自社製品の販売を続ける予定。
契約期間 今回の契約は5年間
その後も、5年ごとに更新できる。

<背景・目的>

  • Wacker Neusonは、
    • 50以上の系列会社
    • 140の販売・サービスステーション
    を持つ、軽量・コンパクト機器の国際的な企業グループである。
  • 同社は既に、数十年前にアジア太平洋地域で小型機械事業に参入しており、現地市場に精通している。
    2013年には、中国へのミニショベルの輸出を開始した。(※豪州・Linz工場から輸出)
  • 同社のアジア太平洋地域での売上高は、2017年にはグループ全体(15億3000万ユーロ)の約3%を占めた。
    「Strategy 2022」ロードマップでは、開発する主要市場として同地域を位置づけている。
    Pinghu工場の建設は、その成長計画における重要なステップだった。
  • John Deere社とWacker Neuson社は、農業機器では既に
    • 欧州
    • 独立国家共同体
    • 北アフリカ
    • 中東
    でパートナーシップを結んでいる。
  • 今回の提携の目的は、アジア太平洋地域で長期的に協力し、ミニショベル・小型ショベル市場で両社が地位を強化することである。
    またWacker Neuson社にとっては、中国・Pinghu工場の稼働率の大幅アップが期待できる。


OEM供給される4機種がどのようなものなのかは、今回の発表にはアジア太平洋市場向けに開発されたということしか書かれておらず、詳細は不明です。

ただ、機械の質量の数値(1.7〜7.5t)から、Wacker Neuson社のアジア向けサイトに掲載されている「Tracked Zero Tail Excavators」[3]の中の機種が、該当するものと推測します。


それらの写真を一見すると、上部旋回体後部の張り出しが極めて少ない点や、キャブの視界が広く確保されている点など、日本で良く見るタイプのミニショベルとは、また違う印象です。

特に興味深い点として、上部旋回体が下部走行体に対して角度を変えられる機能を、機種によっては備えているようです。(例えば[4][5])

これは、足場が水平でない場所でも、上部旋回体を水平に保っての作業を実現するためのものと見受けられますが、私はこのような機能は初めて見ました。

このような独創性も、John Deere社がWacker Neuson社を選んだ理由の一つなのでは、と想像します。


John Deere社は中型以上の油圧ショベルにおいては、日立建機との合弁事業が5月に30周年を迎えており、堅実さ・手堅さが感じられます。

その一方で、小型ショベル・ミニショベルにおいては今回、ユニークな製品を手がけるWacker Neuson社と提携するというのは、ちょうど対照的だと感じます。

この点が、John Deere社の建機事業にどのような影響・効果をもたらすことになるのか、というのは興味を引かれるところです。


※参照・参考資料:
[1]John Deere and Wacker Neuson Enter Into Strategic Supplier Agreement for Compact Excavators (John Deere社、2018/9/10)
https://www.deere.com/en/our-company/news-and-announcements/news-releases/2018/construction/2018sept10-wacker-neuson-agreement/
[2]Wacker Neuson agrees OEM cooperation for mini and compact excavators with John Deere(Wacker Neuson社、2018/9/10)
http://wackerneusongroup.com/en/news-media/press-wacker-neuson/news/wacker-neuson-agrees-oem-cooperation-for-mini-and-compact-excavators-with-john-deere/
[3]Tracked Zero Tail Excavators(Wacker Neuson社)
http://www.wackerneuson.asia/en/products/excavators/tracked-zero-tail-excavators/
[4]EZ53(同上)
http://www.wackerneuson.asia/en/products/excavators/tracked-zero-tail-excavators/model/ez53-3/
[4]EZ28(同上)
http://www.wackerneuson.asia/en/products/excavators/tracked-zero-tail-excavators/model/ez28-2/

posted by 管理人 at 06:00 | 海外メーカー:ディーア(米)

2018年09月24日

タダノ社が100t吊りのラフテレーンクレーン「CREVO1000 G4」を発表、新方式採用で吊上げ能力を高めつつ、走行時サイズは70tクラスとほぼ同等

タダノが2018年9月18日に、

  • 最大吊上げ荷重100t(※作業半径1.6m時)のラフテレーンクレーンの新機種「CREVO1000 G4」(形式:GR-1000N)
を発表していました[1]。

今回はカタログ[2]の情報と合わせて、この機種固有の特徴をまとめてみました。


  • 公道走行できる、日本国内最大の機種
    タダノ社がこれまで
    • オ−ルテレーンクレーン
    • 海外の大型モデル
    で培った機構を搭載。
    国内向けラフターで初採用となる下記の方式により、従来の最大機種(70t吊りの「GR-700N」)から大幅な能力アップを実現した。
    • シングル伸縮シリンダ」:
      1本の油圧シリンダがブーム内でスライドし、各段をブーム固定ピンで連結しながら、順次送り出す方式。
    • Smart Chart」:
      アウトリガが全張出状態で、更に性能を引き出す機構。
    • 自力着脱式のカウンタウェイト
      3部品に分解できる別送方式で、計4t。
      (※ラフターに装着状態での公道走行は禁止。)
    ※クレーン諸元の比較:
    70t吊り
    「GR-700N」[3]
    100t吊り
    「GR-1000N」
    最大地上楊程ブーム 45.2m 48.7m
    ジブ 63.0m 66.3m
    最大作業半径ブーム 40.0m
    (前方特別性能)
    44.0m
    (Smart Chart 1、
    カウンタウエイト付)
    ジブ 46.9m(同上) 56.0m(同上)
    ブーム長さ 9.8〜44.0m 10.2〜48.0m
    ジブ長さ 8.4〜17.7m
  • コンパクトな車体
    走行時の大きさは
    70t吊り
    「GR-700N」[3]
    100t吊り
    「GR-1000N」
    全長 12765mm 13240mm
    全幅 2780mm
    全高 3750mm
    と、70tクラスとほぼ同等
    これにより、特殊車両の通行許可申請においても、算定上有利になる。
  • スマートフォン対応アプリ「HELLO-DATA LINK」を初採用
    無線LANでクレーン本体と携帯端末を接続し、
    • クレーン操作情報
    • インジケータ情報
    • エラーコード
    等、リアルタイムの情報をキャビン外で確認できる。
  • 価格、発売日
    • 標準仕様価格:1億1000万円(税別)
    • 発売日:2018年9月19日


個人的にはやはり、吊上げ荷重を大きく高め、作業できる範囲も拡大しているにも関わらず、走行時の車体サイズを70tクラスと殆ど変らない大きさに収めている点に、最も強く驚きました。

「Smart Chart」で具体的に何を行っているのか、というのは[1][2]にも説明が無いので、気になるところです。
(状況により変化する各種の条件に応じて、最大の能力をその都度コンピューターできめ細かく計算する、ということだろうか?)


他社のウェブサイトを見ると、現行のラフターの最大機種は

  • コベルコ建機:70t吊りの「パンサー700」(70t×2.1m)[4]
  • 加藤製作所:80t吊りの「SL-850Rf」(80t×2.2m)[5]
となっていますが、こちらも今後更なる大型機種の登場があるのか、注目したいところです。


※参照・参考資料:
[1]国内最大ラフテレーンクレーン「CREVO1000 G4」発売のお知らせ(タダノ社、2018/9/18)
http://www.tadano.co.jp/ir/newsrelease/2018/180918.html
[2]GR-1000Nのカタログ(タダノ社)
http://www.tadano.co.jp/products/crane/rc/pdf/CREVO1000G4_catalog_180910.pdf
(※http://www.tadano.co.jp/products/crane/rc/index.html内。)
[3]GR-700Nのカタログ(同上)
http://www.tadano.co.jp/products/crane/rc/pdf/CREVO700G4_catalog_170124.pdf
(※http://www.tadano.co.jp/products/crane/rc/index.html内。)
[4]ラフテレーンクレーン(コベルコ建機)
https://www.kobelco-kenki.co.jp/products/wheel_cranes/#wheel_cranes
[5]SL-850Rf PREMIUM(加藤製作所)
http://www.kato-works.co.jp/products/roughter/sl850rf.html

※関連記事:

posted by 管理人 at 06:00 | 新機種:その他メーカー

2018年09月15日

キャタピラージャパン社が油圧ショベル(運転質量35t前後)の新機種「Cat 336」「Cat 336 GC」を発表、約5年の市場調査を基に「生産性重視」「バランス重視」の2機種を用意

2週間以上前になりますが、キャタピラージャパン社が2018年8月28日に、大型油圧ショベル新機種2種を発表していました[1]。

その主な情報をまとめてみました。


<開発の背景>

  • 多種多様な現場のニーズに対応するため、約5年に渡ってグローバルな市場調査を行った。
    その結果として、「生産性重視」「バランス重視」の2機種を用意した。

<種類>

Cat 336 GCCat 336
特徴 性能・機能のバランスを重視。 生産性を重視。
(i-Constructionに対応)
運転質量 34.2t 35.9t
標準バケット容量 1.5m3
定格出力(NET) 204kW 232kW
排ガス規制 オフロード法2014年基準に適合。
標準販売価格
(販売標準仕様、
工場渡し、
税別)
3380万 3750万
発売日 2018年8月31日

<「Cat 336」のみの標準装備>

Catグレード2D 基準点〜バケット刃先深さ・高さ・勾配を、リアルタイムで認識。
設定した設計施工面までの掘削ガイダンスを行う。
これにより、作業効率の最大35%向上が見込まれる。
グレードアシスト セミオートマシンコントロール機能(下記の4種)により、ブームとバケットの操作を自動制御する。
この機能により、操作レバー1本のみで、設計通りの掘削が行える。
  • 「グレードアシスト」:
    ブーム操作を自動制御し、目標の深さと勾配を維持する。
  • 「バケットアシスト」:
    • 法面整形
    • 水平均し
    • 仕上げ作業
    • 溝掘削
    において、バケットの姿勢・対地角度を自動的に維持・固定する。
  • 「ブームアシスト」:
    地山掘削などで頻発する、車体の浮き上がりを回避する。
  • 「旋回アシスト」:
    予め設定した旋回角度において、旋回動作を自動で停止する。
    • トラック積込
    • 溝掘削
    等に有効。
Catペイロード バケット内の荷の重量を、作業中に動作を止めずに自動計測できる。
関連情報は、標準モニタ上にリアルタイム表示される。
E-フェンス 下記5種の境界をモニタ上で設定することで、動作を自動的に停止できる安全機能。
  • 「Eシーリング」(作業高さ制限)
  • 「Eフロア」(作業深さ制限)
  • 「Eウォール」(作業半径制限)
  • 「Eスイング」(旋回角度制限)
  • キャブ干渉防止機能」
これにより、
  • 上方に電線が存在
  • 地中にガス管が埋設
  • 道路脇で作業
等の場合における、接触事故を回避できる。


5年間の市場調査に基づいて、i-Construction対応・非対応の2機種を用意ということで、ユーザー側においても、今がちょうどICT油圧ショベル導入の過渡期になっている、ということかもしれません。


「Cat 336」のみの機能は、単にi-Construction対応というだけでなく、具体的に「できること」が詳しく紹介されており、メリットがイメージしやすいです。
この丁寧な説明も、時間をかけた市場調査の成果だと想像します。


また「336」は「336 GC」に比べて、エンジンの出力(そして掘削能力)も高くなっており、確かに「生産性重視」の仕様であることが伺えます。

その「336」と「336 GC」の価格差は約400万円ですが、ICT建機の実際の需要という点からも、この2機種がどのような売れ行きを見せるのか、非常に興味を惹かれるところです。


※参照・参考資料:
[1]i-Construction対応の大型「次世代油圧ショベル」を発売(キャタピラージャパン社、2018/8/28)
https://kenkipro.com/news/2018/08/95.html

posted by 管理人 at 06:00 | メーカー:キャタピラージャパン

2018年09月06日

タダノ社が印「Escorts」社とクレーン製造・販売の合弁企業設立で合意、インド市場での事業拡大・成長を図る

タダノ社とインドの「Escorts」社が2018年8月27日に、

  • インドにおいてクレーン製造・販売の合弁企業を設立することで、両社が合意した。
と発表していました[1][2]。

その概要をまとめてみました。


背景・目的
  • タダノグループは現在、長期目標「LE(Lifting Equipment)世界No.1」を掲げ、海外事業の拡充とシェア向上に取り組んでいる。
    インド市場では、2012年に現地法人を設立し、建設用クレーンの販売・サービスを行っている。
    今回は、成長著しい同市場において、更なる事業拡大自社グループの成長を図るため、現地の有力な建機・農機メーカーのEscorts社と、合弁会社設立で合意した。
    これにより自社製品の拡販だけでなく、現地での設計・ものづくりによる競争力強化にも取り組む。
  • Escorts社にとっては合弁企業により、マテリアルハンドリング機器分野における、自社の
    • 技術面でのリーダーシップ
    • 市場での存在感
    の強化が見込まれる。
  • 今回の合弁企業では、
    • Escorts社が持つ、費用対効果が高く倹約的なインドのエンジニアリングの卓越性
    • タダノ社が持つ、世界をリードする日本の技術
    を、最大限に活用する予定。
合弁会社 ※名称は記載無し。
  • 所在地:インドのFaridabad市
  • 資本金:6億インドルピー(約9.5億円)
    ※出資比率はタダノ社:Escorts社=51:49。
  • 事業内容:建設用クレーンの開発・製造・販売
    吊上げ能力20〜80tトラッククレーン・ラフテレーンクレーンを手がける予定。
    (※Escorts社の既存の取扱製品は10〜40t[3]。)
  • 業務の開始時期:2018年11月


タダノ社は今年5月には米「Manitex International」社への出資を発表していましたが、今回はインドでの出資。

長期目標「LE世界No.1」に基づいて、先進国・新興国を問わず、海外事業の拡大・成長に取り組む姿勢が伺えます。


Escorts社のサイトを見て面白いと思ったのは、建設機械製品の紹介ページ[3]が機種別(油圧ショベル等)ではなく、

  • 「Material Handling Equipment」(クレーン、フォークリフト)
  • 「Earthmoving Equipment」(油圧ショベル等)
  • 「Escorts Construction Equipment」(道路工事用のロードローラー)
と、用途別にカテゴリ分けされていることです。

今回のプレスリリース[2]では、インドのエンジニアリングについて「cost effective frugal」とありますが、上記の用途別のカテゴリ分けは、(ささいなことですが)そのようなインド特有の合理性の表れの一つなのでは、と考えさせられます。


その点で、同社とタダノ社の合弁事業により、どのような特徴的なクレーン製品が生み出されることになるのか、強く興味を惹かれるところです。


※参照・参考資料:
[1]インドにおけるクレーン製造・販売の合弁会社設立のお知らせ(タダノ社、2018/8/27)
http://www.tadano.co.jp/ir/newsrelease/2018/180827.html
[2]Escorts Enters into JV with Japan’s Tadano Group for HIGHER CAPACITY MOBILE CRANES(Escorts社、2018/8/27)
https://www.escortsgroup.com/media-room/press-releases/escorts-enters-into-jv-with-japan-s-tadano-group-for-higher-capacity-mobile-cranes.html
[3]Escorts Construction Equipment(Escorts社)
https://www.escortsgroup.com/construction-equipment/

※関連記事:

posted by 管理人 at 06:00 | メーカー:タダノ

2018年09月03日

コベルコ建機がICT建機のロードマップを発表、中長期的には「誰でも働ける現場」を目指す

コベルコ建機2018年8月28日に、

  • ICT建機ロードマップ
を発表していました[1]。

その中から、「中長期的」な目標・取組みをまとめてみました。


目標 新たに「誰でも働ける現場」というテーマを立ち上げた。
その実現に向け、中長期的に研究・開発を進めていく。
取組み
  • K-DIVE Concept」:
    2020年の5G通信規格を見据えて、
    • 現場で操縦しているような臨場感のある操作感覚
    • 長時間作業しても疲れない
    • ゲーム感覚での遠隔操縦
    を実現する、次世代遠隔操縦技術の開発を進めている。
    「働く人を中心とした建設現場のテレワークシステム」を提供することで「誰でも働ける現場」づくりに貢献する。
  • K-Lab.」:
    自動車解体において、現在の施工方法(オペレータの技能に依存)から、「誰でも働ける」操作方法で直感的な作業を実現し、作業・操作の根底からの変革を目指して、開発・研究を進めている。


新しいテーマと、具体的な取組みのいずれにも「誰でも働ける」という文言が入っていることには、建設などの現場における、現在の人手不足の深刻化・また将来的な人手不足に対する懸念の深さが、強く感じられる気がします。


ただ「K-DIVE Concept」の説明の中には、「ゲーム感覚で油圧ショベルを遠隔操縦」との記述がありますが、それが本当に実現できるのかは、個人的には強い疑問を抱きます。

まずコンピューターゲームでは、(ゲームの操作・進行における)重要情報は、視覚情報に極めて偏っています。(音声情報は、効果音やBGMなど装飾的な面が大部分なので別とする)

対して実際の機械では、運転席に伝わる振動や、車体の傾き・揺れ、周囲全方向からの騒音など、視覚以外の情報も操縦において極めて重要なはずです。

そして、それらの膨大・繊細な情報を、遠隔操作の装置で寸分違わず再現するというのは、極めて難しいのではないかと考えます。

それだけに一方で、この課題について(コベルコ建機をはじめとする)遠隔操作を志向する建機メーカーがどう答えを出していくのか、という点は強く興味を惹かれるところです。


もっとも例えば、東日本大震災に伴い発生した福島第1原発事故の現場では、既に廃炉作業で建機の遠隔操作が実用済みでした。

このような、強い危険のある現場向けとしては、遠隔操作の臨場感や操作感を少しでも高めていくことは、大きな意義があるものと考えます。


※参照・参考資料:
[1]コベルコ建機が目指すICTロードマップについて(コベルコ建機、2018/8/28)
https://www.kobelcocm-global.com/jp/news/2018/180828/index.html

※関連記事:

posted by 管理人 at 06:00 | 無人化施工、情報化施工

2018年08月28日

日本キャタピラー社が障害物レース「SPARTAN RACE presented by Reebok」のコースを施工予定、ICT建機を活用

日本キャタピラー社が2018年8月24日に、

  • 自社が、参加型障害物レース「SPARTAN RACE presented by Reebok」(2018年9月8日、群馬県みなかみ町)を支援するオフィシャルパートナーに決定した。
と発表していました[1]。

その概要をまとめてみました。


背景
  • 「スパルタンレース」は、世界39カ国で年間165回以上開催されており、世界で100万人以上が参加している。
  • 日本キャタピラー社は、前回の国内大会(今年5月、東京ドイツ村)でも
    • ICT油圧ショベルの3D機能による、障害物「ローリングマッド」「ダンクウォール」の施工
    • その他障害物の設置サポート
    等を手がけた。
今回の主な支援内容
  • コースや障害物の施工・設置
    • ICT油圧ショベル「Cat 320」
    • ミニショベル「Cat 303E CR」
    を用いる。
    ※コースは最長が10q以上障害物約25
    ※レース当日には、コース内やブース横に油圧ショベルを展示する。
  • 商品の提供
    上位入賞者に、建機のスケールモデル等を贈呈する。


4月の大会[2]でのコース施工の様子は公表済み[3]ですが、建物などの建造と異なり、施工された地形をほぼそのままの状態で見ることができるのは、珍しいケースだと思います。

また、障害物の施工の大部分はICTショベルが担ったものとみられますが、施工の正確さ・早さという情報化施工のメリットが、(通常の土木・建設現場だけでなく)スポーツの競技場所の整備でも発揮されたというのは、非常に面白いです。

個人的には、情報化施工やICT建機はまだ身近な存在ではないですが、このような取組みが地道に続けられれば、一般での認知も進んでいくのではないでしょうか。


※参照・参考資料:
[1]オフィシャルパートナーに日本キャタピラーが決定〜「SPARTAN RACE presented by Reebok」9月8日開催〜(日本キャタピラー社、2018/8/24)
https://www.nipponcat.co.jp/news/2018/spartanrace201809.html
[2]世界最高峰障害物レース「SPARTAN RACE」オフィシャルパートナーに決定(同上、2018/4/23)
https://www.nipponcat.co.jp/news/2018/spartanrace201805.html
[3]ICT建機で「正確・早い・安全な」施工(スパルタンレース)(同上、2018/5/29)
https://www.nipponcat.co.jp/news/2018/spartanrace201805report.html

posted by 管理人 at 06:00 | 建機とスポーツ

2018年08月11日

BHP社の鉱山資源部門が、女性にも使いやすい鉱山機械などを大手建機メーカーに要望、労働者の多様化に対応

最近のニュース記事[1][2]で

  • 豪州の「BHP MINERALS」(※英「BHP Billiton」の鉱山資源部門)が、女性がより多く鉱山セクターの仕事に参加できるようにするため、車両・鉱山機械・インフラを改善するよう、建設機械メーカーに要望を出している。
と報じられていました。

その中から、主な情報をまとめてみました。


背景
  • BHPでは、採鉱部門の労働人口に女性の割合が増えている。
  • 同社において作業員の多様化が最も進んでいる現場では、
    • 作業効率が(他の現場と比べ)15良い
    との結果が出ている。
  • BHPでは、現場作業員を斡旋する人材派遣会社に
    • 候補者の30%を女性とするように
    との依頼を行っており、社内のダイバーシティを進めている。
要望先
  • Caterpillar
  • コマツ
  • Liebherr
を含む、大手建設機械メーカー。
現在の取組み 女性労働者の増加に対応するため、建機メーカーと密接に連係して、
  • 機器の高さ
  • ホースやフィルターの重さ
等、最適なデザインを検討している。


鉱山の採掘現場というと、個人的には女性に最も縁遠い仕事場の一つというイメージを持っていたので、世界的な鉱業会社の採掘部門で女性作業員が増えている、というのは非常に意外でした。

また単に女性の増加というだけでなく、作業員の多様化が進むことで仕事の効率にも明らかにプラスの効果が出ている、という点にも驚きました。

BHP社の要望については、既に具体的な取組みが始まっているようですが、例えばキャタピラージャパン社による女子高校生向けのエンジニアの体験イベントも、今回の件と幾らかでも繋がりがあるのでは、と想像します。

日本では政府が「女性活躍」云々というスローガンを(その実効性はさておき)掲げていましたが、女性による(従来は不向きと思われていた)業種への積極的な参画は、既に世界的な動きになっている、ということなのかもしれません。

それに伴い、建設機械・鉱山機械産業も、これから小さくない変化が起こってくる可能性があると考えるので、今後の動向には注意を払っていきたいと思います。


※参照・参考資料:
[1]BHP、コマツなどに「女性に優しい重機を」(NNA ASIA、2018/8/2)
https://www.nna.jp/news/show/1794923
[2]BHP wants Caterpillar, Komatsu to design more female-friendly equipment(Financial Review、2018/7/29)
https://www.afr.com/business/mining/bhp-wants-caterpillar-komatsu-to-design-more-femalefriendly-equipment-20180729-h13alv
[3]Minerals Australia(BHP社)
https://www.bhp.com/our-businesses/minerals-australia
[4]BHPビリトン(ウィキペディア)

posted by 管理人 at 06:00 | 海外の需要動向

2018年08月05日

2018/4-6の「土木建設機械」リースは、前年同月比プラスとマイナスが斑模様

今回は、リース事業協会発表の20184-6月分のリース統計[1]〜[3]から、「土木建設機械」の数字を抜き出し、過去のデータと合わせて12ヶ月分2017/7〜2018/6)の表を作ってみました。


<月毎の推移>

※カッコ内は前年同月比。
※2018/3以前の数字は、当ブログの過去記事から引き継いでいます。

取扱件数取扱金額
2017年 7月1165件(61.4%)117億8800万円(47.1%)
8月1093件(21.9%)101億7370万円(8.5%)
9月1523件(15.6%)168億30万円(17.5%)
10月1143件(21.1%)136億1100万円(1.5%)
11月1490件(25.1%)157億5670万円(1.8%)
12月1367件(34.9%)141億2640万円(2.3%)
2018年1月852件(25.0%)82億2170万円(21.9%)
2月840件(30.6%)81億5850万円(16.3%)
3月2032件(40.9%)167億7140万円(10.3%)
4月833件(5.0%)94億2750万円(10.7%)
5月726件(15.9%)79億9150万円(5.4%)
6月971件(5.0%)79億200万円(14.4%)

2018/4-6は、金額が4・6月にプラス、件数は4月のみプラスと、(前年同月比の)増加と減少がちょうど半々の斑模様です。

同じ期間の国内向け建機出荷額コマツ・日立建機の日本での売上高と違って、まるっきり減少一辺倒になっていないのは、かなり意外でした。

ただリース統計においては、今年3月以降は(2月以前と異なり)プラスの月が出てきています。

土木建設機械のリースでは、東京都心部での工事の活発化による好影響が幾らか出ている、ということなのかもしれません。



<過去年の6月と比較>

※カッコ内は前年同月比。
2017年以前の数字は、当ブログの過去記事を引継ぎました。

件数金額
2007年6月1200件(20.1%)121億2300万円(20.2%)
2008年1446件(20.5%)128億3940万円(5.9%)
2009年778件(46.2%)67億5850万円(47.4%)
2010年805件(3.5%)69億7430万円(3.2%)
2011年852件(5.8%)78億2960万円(12.3%)
2012年1252件(46.9%)99億4770万円(27.1%)
2013年1105件(11.7%)115億1930万円(15.8%)
2014年1073件(2.9%)93億3180万円(19.1%)
2015年899件(16.2%)86億1580万円(7.5%)
2016年760件(15.5%)96億4910万円(12.0%)
2017年925件(21.7%)92億3020万円(4.3%)
2018年971件(5.0%)79億200万円(14.4%)

2018年6月は件数が前年同月比プラスでしたが、過去の年と比べると、特に突出した数値ではありません。

特にリーマンショック以前の2008・2009年、また東日本大震災(2011年発生)後の2012〜2014年と比べると、リース件数は大きく下回っています。(ましてや金額は言わずもがな)

東京五輪向けの工事が活発化しているとはいえ、あくまでごくごく一部地域での盛り上がりであり、その影響は(少なくとも今のところは)やはり極めて限定的という印象です。


※参照・参考資料:
[1]リース統計 (2018年4月)(リース事業協会、2018/5/29)
http://www.leasing.or.jp/statistics/docs/2018_04.pdf
[2]リース統計 (2018年5月)(同上、2018//6/27)
http://www.leasing.or.jp/statistics/docs/2018_05.pdf
[3]リース統計 (2018年6月)(同上、2018/7/30)
http://www.leasing.or.jp/statistics/docs/2018_06.pdf

posted by 管理人 at 06:00 | リース統計

2018年08月04日

2018/4-6の建機出荷額は、輸出が前年同月比20%前後の伸びが続く一方、国内は減少が続く

今回は、日本建設機械工業会が発表している「建設機械出荷金額統計」から、

  • 総合計(小計、国内向け、輸出)
  • トラクタ」「油圧ショベル」「ミニショベル」「建設用クレーン」(※金額の上位4機種)
  • 補給部品
の項目について、
  • 20177月〜20186
の1年間の数値を並べ、その推移を、直近3ヶ月間2018/4-6)を中心に眺めてみました。

※2017/7-2018/6の数値は、当ブログの過去記事から引き継いでいます。
 2018/4-6の数値は、日本建設機械工業会の発表[1]〜[3]から抜き出しました。
※金額の単位は「」で、1億円未満を四捨五入しています。
※カッコ内は前年同月比の増減。


<総合計>

小計内訳
国内輸出
2017年 7月 2046億(26.9%)851億(17.9%)1194億(34.3%)
8月 1889億(25.0%)849億(11.1%)1040億(39.1%)
9月 2587億(19.7%)1119億(0.3%)1469億(41.3%)
10月 2046億(21.4%)767億(5.7%)1279億(46.5%)
11月 2289億(26.6%)872億(4.2%)1417億(57.9%)
12月 2181億(19.2%)741億(8.8%)1439億(41.6%)
2018年1月 2036億(15.5%)672億(3.3%)1364億(27.6%)
2月 2180億(6.2%)744億(7.2%)1436億(14.8%)
3月 2813億(1.4%)1080億(19.8%)1733億(21.3%)
4月 2101億(10.4%)529億(14.0%)1573億(22.1%)
5月 2013億(11.3%)659億(2.8%)1354億(19.6%)
6月 2391億(10.1%)775億(8.3%)1616億(21.8%)

2018/4-6は、「国内」は3ヶ月連続のマイナスとなっており、新排ガス規制(2017年9月導入)の影響の根深さが痛感されます。

その一方で「輸出」は、2割前後と好調な伸びが継続。

海外建機需要の好調さが「小計」の伸び(10%超)を支える、典型的な構図となっていることが伺えます。


<輸出の増加地域>

※「前年同月比増」の記述がある地域に、「○」をつけています。

アジア中国オセアニア 欧州北米中南米 CIS
その他
東欧
中近東アフリカ
2017年 7月
8月
9月
10月
11月
12月
2018年1月
2月
3月
4月
5月
6月
アジア中国オセアニア 欧州北米中南米 CIS
その他
東欧
中近東アフリカ

2018/4-6も、大部分の地域で「○」(前年同月比プラス)が継続。

3月以前と同様に、幅広い地域での建機需要の好調さが、輸出の伸びを支えているようです。


ただし今回(4-6月)は、「中近東」「アフリカ」に全く「○」がありません。

同期間のコマツと日立建機の業績では、日立建機のアフリカでの売上高が微減(ほぼ横ばい)、コマツの中近東が約8%マイナスであり、海外市場の全てが好調というわけではないことが伺えます。

このうち中近東については、売上高が伸びた日立建機のほうでも「低水準の需要が継続」([7]の9p)とされています。

そしてコマツの決算短信においては、イエメンの内戦が、中東での公共事業減少の一因として挙げられています([8]の6p)。

この内戦は、2015年から続いている[9]とのことであり、これが終結しない限りは、中近東での建機需要も、安定した伸びには転じないものと考えます。


また中国市場については、好調が続いているものの、報道の中では米中間の貿易摩擦の影響を懸念する見方[5]も出てきており、この点はやはりという感じです。

ただしちょうど先月(7月)末には、中国共産党がこの貿易摩擦を受けて、「景気優先の経済政策」に転換することを決定した[10]とのこと。

中国国内のインフラ投資は2016年の夏に明確に伸び始めたので、まだ「景気優先の経済政策」ではなかったというのは、ちょっと面を喰らいました。

ともかく、今後の政策の実行度合いによって、(意外にも)更に中国建機需要が伸びる可能性は、有るのかもしれません。


<トラクタ>

小計内訳
国内輸出
2017年 7月 213億(34.8%)84億(3.5%)130億(67.7%)
8月 232億(48.0%)107億(33.5%)125億(63.2%)
9月 297億(34.2%)107億(0.8%)191億(67.1%)
10月 260億(13.6%)122億(11.7%)138億(52.2%)
11月 304億(17.0%)152億(11.6%)152億(73.0%)
12月 237億(5.0%)94億(23.4%)143億(38.8%)
2018年 1月198億(17.0%)61億(11.4%)137億(36.2%)
2月 207億(11.5%)70億(9.9%)137億(12.4%)
3月 291億(1.7%)101億(19.9%)190億(18.7%)
4月 217億(2.7%)51億(6.9%)166億(6.1%)
5月 211億(13.4%)66億(21.8%)144億(10.0%)
6月 243億(2.4%)75億(18.3%)169億(6.8%)

2018/4-6の「トラクタ」は、「国内」が5月に大幅プラスだったものの、4・6月はマイナスであり、新排ガス規制の影響はまだまだ抜けないようです。

好調と思われた輸出のほうも、3月以前(殆どが2ケタ%のプラス)と比べると、伸び幅が小さくなっています。

トラクタの輸出は、高い伸び率が昨年(2017年)の2月から続いてきましたが、今後は伸びの鈍化に転じていくのかが、気になるところです。


<油圧ショベル>

小計内訳
国内輸出
2017年 7月 722億(38.7%)293億(57.9%)429億(28.1%)
8月 655億(29.1%)281億(46.5%)374億(18.5%)
9月 924億(30.1%)302億(1.2%)622億(51.1%)
10月 723億(23.2%)205億(7.9%)519億(42.1%)
11月 803億(42.9%)221億(4.9%)582億(76.7%)
12月 813億(34.2%)197億(11.4%)616億(60.6%)
2018年 1月715億(5.9%)143億(29.7%)572億(21.2%)
2月785億(11.7%)156億(26.9%)629億(28.5%)
3月1022億(10.2%)255億(25.6%)767億(31.3%)
4月 811億(19.2%)127億(24.9%)684億(33.8%)
5月 736億(12.2%)172億(18.8%)564億(27.0%)
6月 907億(14.9%)219億(16.8%)688億(30.8%)

油圧ショベルの「国内」は、昨年10月以来の連続マイナスとなっており、新排ガス規制前の駆け込み需要後の反動減の大きさ・根深さを、強く感じます。

ただ、5・6月はマイナス幅が若干縮んできたようにも見えるので、7月以降がどうなっていくのかは、注目したいところです。

いっぽう輸出のほうは、3割前後という大きな伸びが続いており、海外需要の衰えぬ旺盛さが伺えます。


<ミニショベル>

小計内訳
国内輸出
2017年 7月 238億(9.4%)68億(23.6%)169億(4.6%)
8月 230億(16.3%)62億(9.3%)168億(19.2%)
9月 247億(2.6%)88億(6.0%)159億(0.8%)
10月 257億(49.1%)81億(15.4%)176億(72.5%)
11月 250億(8.8%)82億(3.8%)168億(11.4%)
12月 269億(29.3%)76億(4.2%)193億(42.9%)
2018年 1月243億(16.1%)65億(11.4%)179億(18.0%)
2月 257億(8.3%)67億(5.6%)191億(9.3%)
3月 297億(9.1%)90億(0.1%)207億(13.6%)
4月 260億(12.4%)52億(21.9%)207億(10.2%)
5月 236億(14.7%)59億(15.7%)177億(14.4%)
6月 259億(8.3%)65億(7.1%)193億(14.8%)

小計が既にトラクタを抜く規模になっているミニショベルは、「国内」が4・5月に2ケタ%の伸びだったものの、6月は一転して約7%のマイナス。

ミニショベルは「リース・レンタル会社などの購入が広がっ」ている[5]とのことですが、需要には有る程度の波があるようです。

いっぽう「輸出」は、4-6月も10%以上の伸びがキープされており、海外需要の堅調さが感じられます。


<建設用クレーン>

小計内訳
国内輸出
2017年 7月 225億(6.5%)166億(6.3%)59億(7.3%)
8月 207億(9.9%)155億(13.1%)52億(1.3%)
9月 327億(14.3%)263億(19.3%)64億(15.3%)
10月 149億(6.3%)102億(9.1%)47億(0.3%)
11月 207億(14.5%)140億(1.0%)66億(71.4%)
12月 186億(7.6%)131億(10.0%)55億(1.3%)
2018年 1月224億(21.8%)169億(33.0%)55億(3.0%)
2月 247億(0.7%)176億(3.3%)71億(12.2%)
3月 378億(16.4%)309億(17.1%)68億(13.2%)
4月 146億(13.0%)88億(3.2%)58億(51.3%)
5月 179億(2.3%)119億(2.6%)60億(13.5%)
6月 228億(6.2%)158億(1.1%)70億(19.7%)

クレーンの「国内」は、過去12ヶ月のうち9ヶ月が前年同月比マイナスであり、全体として下り坂の印象です。

タダノ社の前年度の業績発表では、国内需要減少の一因に「オペレーター不足」が挙げられています([11]の4p)。

また個人的にも、北海道でクレーン検査を受ける台数が年々減っている、と耳にしています。

オペ不足の改善が進まない限りは、例え一部の地域で工事が急増したとしても、クレーン需要の減少は(残念ながら)止まらないものと考えます。


いっぽう「輸出」のほうは、今回(4-6月)は大幅な伸びが継続。

昨年末〜今年の春は、マイナスが目立っていましたが、過去1年を通してみるとプラスのほうが多く、クレーンでも海外需要が好調であることが感じられます。

また個人的にはこれまで、クレーン輸出額の増減は中近東の建機需要と強く関係していると思っていましたが、今回は完全に外れており、見方を改めないといけないようです。


<補給部品>

小計内訳
国内輸出
2017年 7月 282億(26.1%)96億(1.6%)186億(47.4%)
8月 252億(74.7%)94億(1.7%)158億(227.0%)
9月 283億(23.4%)103億(0.6%)180億(43.2%)
10月 281億(22.7%)100億(3.3%)181億(44.0%)
11月 287億(23.1%)99億(6.1%)188億(47.5%)
12月 264億(15.6%)97億(3.0%)166億(24.4%)
2018年 1月245億(12.1%)93億(3.3%)153億(18.1%)
2月 257億(2.7%)102億(0.7%)155億(4.1%)
3月 313億(9.4%)111億(9.8%)203億(23.8%)
4月 286億(14.2%)96億(5.2%)190億(19.4%)
5月 280億(9.2%)92億(2.1%)188億(15.8%)
6月 311億(3.4%)102億(5.3%)209億(8.3%)

補給部品の「輸出」は、4-6月は伸び幅が20%を下回っており、流石に昨年(2017年)よりは伸びが鈍化しているようですが、それでも海外での建機稼動の好調さが伺えます。


いっぽう「国内」は、4-6月は4月のみプラスで、5・6月はマイナス。

過去12ヶ月を見ても、マイナスの月のほうが多くなっています。

補給部品の
国内向け出荷額
KOMTRAXでの
「日本」の稼働時間
(月次)
2017年 7月 96億(1.6%)57.4(0.6%)
8月 94億(1.7%)52.9(0.8%)
9月 103億(0.6%)55.9(0.1%)
10月 100億(3.3%)54.9(7.9%)
11月 99億(6.1%)60.3(0.6%)
12月 97億(3.0%)63.4(2.7%)
2018年1月 93億(3.3%)59.6(2.0%)
2月 102億(0.7%)64.9(4.2%)
3月 111億(9.8%)60.4(0.7%)
4月 96億(5.2%)52.0(0.2%)
5月 92億(2.1%)51.7(0.6%)
6月 102億(5.3%)55.4(2.3%)

補給部品の「国内」向け出荷額を、コマツ「KOMTRAX」での稼働時間データ[12]と照らし合わせてみました。(※KOMTRAXもカッコ内は前年同月比)

稼働時間は最近4ヶ月がマイナス続きであり、これが補給部品の出荷額減少と繋がっていると思われます。

東京都心部の工事は昨年(2017年)秋頃から活発化しているとのことですが、それにも関わらずこの状況となれば、五輪による国内工事(そして建機需要)の喚起の効果も、(残念ながら)もはやたかが知れているのではないでしょうか。


※参照資料:
[1]2018年4月度建設機械出荷金額統計まとまる(日本建設機械工業会、2018/6/1)
http://www.cema.or.jp/general/news/20180601.html
[2]2018年5月度建設機械出荷金額統計まとまる(同上、2018/6/29)
http://www.cema.or.jp/general/news/20180629.html
[3]2018年6月度建設機械出荷金額統計まとまる(同上、2018/8/1)
http://www.cema.or.jp/general/news/20180801.html
[4]4月の建設機械出荷10%増、輸出好調で18カ月連続プラス(日本経済新聞、2018/5/31)
https://r.nikkei.com/article/DGXMZO31188050R30C18A5XA0000?s=0
[5]建設機械、外需依存が鮮明 5月の建機出荷額11%増 19カ月連続プラス (同上、2018/6/28)
https://r.nikkei.com/article/DGXMZO32339850Y8A620C1XA0000?s=0
[6]建機出荷額1〜6月は9%増、単月も20カ月連続プラス(同上、2018/7/31)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO33604220R30C18A7XA0000/
[7]地域別市場環境と見通しについて(日立建機、2018/7/25)
https://www.hitachicm.com/global/wp-content/uploads/2018/07/20180725-Regional-JP1.pdf
(※https://www.hitachicm.com/global/jp/ir/library/results/内。)
[8]2019年3月期 第1四半期決算短信〔米国基準〕(連結)(コマツ、2018/7/27)
https://home.komatsu/jp/press/2018/acc/__icsFiles/afieldfile/2018/07/27/1807q1_1.pdf
(※https://home.komatsu/jp/press/2018/acc/1199856_1595.html内)
[9]2015年イエメン内戦(ウィキペディア)
[10]中国、景気優先にかじ=対米摩擦受け財政出動(時事ドットコム、2018/7/31)
https://www.jiji.com/jc/article?k=2018073101272&g=int
[11]2018年3月期 決算短信(タダノ社、2018/4/27)
http://www.tadano.co.jp/ir/pdf/FY2018.pdf (※http://www.tadano.co.jp/ir/kessan.html内。)
[12]KOMTRAX月次データ(〜2018年6月)(コマツ社)
https://home.komatsu/jp/ir/demand-orders/__icsFiles/afieldfile/2018/07/06/201806komtrax_j.pdf
(※https://home.komatsu/jp/ir/demand-orders/内。)
posted by 管理人 at 06:00 | 建機出荷額統計